今年のアカデミー賞:作品賞や監督賞など主要4部門を獲得した作品
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を観てきました。
『バベル』メキシコ出身の
アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の作品ですが、菊池凛子の出世作『バベル』は私の肌に合わない作品だったので、あまり期待しないで観に行きました。
映画の内容は、『バードマン』と言うヒーロー映画で一世を風靡した主人公が、現在は落ち目の俳優と化していて、過去の栄光とはかけ離れた現実と幻想のはざまで追い込まれるさまを描いたブラックコメディーです。
落ちぶれた俳優の彼がブロードウェイの舞台で復活しようとする中で、不運と精神的なダメージを重ねていく姿を映しています。『バードマン』と言うヒーロー映画の元主演俳優役に『バットマン』シリーズなどのマイケル・キートンが扮していますが、その共演者がマーベル・コミックを映画化した『インクレディブル・ハルク』で主役を演じたエドワード・ノートン。
そして『アメイジング・スパイダーマン』でスパイダーマンの彼女役を演じたエマ・ストーンを配しているのも洒落ています。
あらすじ
かつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡(ふうび)した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、落ちぶれた今、自分が脚色を手掛けた舞台「愛について語るときに我々の語ること」に再起を懸けていた。しかし、降板した俳優の代役としてやって来たマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)の才能がリーガンを追い込む。さらに娘サム(エマ・ストーン)との不仲に苦しみ、リーガンは舞台の役柄に自分自身を投影し始め……。この作品を観た感想は一言で言うと、
映画通を気取っている方向けの作品です。映画を観た後の爽快感とか、昂揚感がまるでない作品でした。
大きなシアターで興行するより、小さな単館向けの内容だったと感じました。
主人公の妄想と、現実のギャップを叩きつけられる内容なので、見ていて心が重苦しくなってしまいます。
しかし観終わった後も、深く心に残り、いろいろ考えさせられる作品だったので、、そういう意味でアカデミー賞を取ったのでしょうね。
面白かったのはアメリカにおけるハリウッドの大量消費的な映画製作への皮肉と、ブロードウェイのシュービジネスにおける小賢しいエリート意識が垣間見えるところです。
そんな対立軸を、演劇的なワンカット風の撮影で押し通したところが、アカデミー会員の琴線に触れたのではないでしょうか。
この作品の肝は、主人公が時折見せる超能力のシーンにあります。
それは映像の中で否定されるのですが、その伏線が最後の娘サム(エマ・ストーン)が空を見上げて微笑むシーンに生きています。
このシーンで何が何だか分からなくなった観客が多いと思いますが、私は素直に解釈しました。しかし、この映画の最大の売りである、まるでワンカットで撮影されたかのようなカメラワークについては、私は評価しません。時間軸の流れが見ていて一致しないので、とても違和感を感じてしまいました。
同じ撮影監督の仕事では、アルフォンソ・キュアロン監督、主演クライブ・オーエンの『トゥモロー・ワールド』における超絶長回し撮影の方が見る価値があると思います。
あまり作品の内容に触れるとネタばれになりますので、良く分からない感想になってしまいましたが、この作品全体に流れる
バックグランドミュージックのほとんどがドラムソロである点が一番評価できる点です。
これは良質のジャズライブを観ている感じで、リズムに身を委ねる感触が最高でした。
でも万人に勧められる映画ではないですね。
まあ60点の映画かな。
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- 2015/04/23(木) 08:26:55|
- 映画
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| コメント:2
ク~さんおはようございます。
最近のアカデミー賞はどれも後世に残る名作とは言えませんよね。
沢山鑑賞者がいましたが、会話劇なので目が離せず疲れる映画でした。
- 2015/04/24(金) 07:54:21 |
- URL |
- SONE #QVCxQ8ys
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