ずっと追いかけているアニメ監督・新海誠の最新作
『天気の子』を見てきました。
前作の『君の名は。』がどうも肌に合わず、今回は見るべきか、スルーするべきか少し悩みましたが、あの究極に美しい背景画の世界を大型スクリーンで堪能したくなって、映画館に足を運びました。
あらすじ
高校1年生の夏、帆高は離島から逃げ出して東京に行くが、暮らしに困ってうさんくさいオカルト雑誌のライターの仕事を見つける。雨が降り続くある日、帆高は弟と二人で生活している陽菜という不思議な能力を持つ少女と出会う。見終わって最初の感想は、空前の大ヒットになった『君の名は。』ほど興行収入は良くないだろうな、という事でした。
話の骨子は、豪雨が続き東京の街が水没していくのを止める力を持った少女と、人柱になる少女を助けたい少年の話なんですが、『君の名は。』で表現された町一つが彗星の落下で壊滅する破壊的な状況とは異なり切迫感に欠けているんですよ。
現実に報道などで、線上降水帯による悲惨なゲリラ豪雨の映像を見てしまうと、本作で表現されている雨は優しく見えてしまい、デザスタームービーとして根本的なところが抜けているのです。
新海監督のこれまでの作品でデビュー作の『ほしのこえ』、海外で凄く評価された『雲の向こう、約束の場所』、そして『君の名は。』に全て共通するスタンスは【セカイ系】と言われる、若い女の子が世界の危機を救う一点に集約されています。
しかし本作はその【セカイ系】的なラストに持っていかない点で、新海監督が新たなるステージに上がったと感じますが、いろいろシナリオに欠点があり、二人の主人公に全然感情移入できぬまま、物語が進んでのは最悪でした。
帆高が何故遠い東京まで家出したのか、それは重要なプロットだと思うのですが、その点にはほとんど触れられていません。
光を追いかけて来てしまったなんて理由は陳腐すぎます。
また陽菜が何故晴れ女の能力を得たのかも最後まで分からず、弟と貧しく二人で暮らしている事もあり得ない状況です。
それに空から落ちるシーン、雲の上のシーン、草原に佇むシーンは『千と千尋の神隠し』や『天空の城ラピュタ』、『風の谷のナウシカ』などの宮崎駿作品で見た既視感覚が濃厚でちょっと興ざめしてしまいました。
が新海監督に求めているのは『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』の、エンタメ的じゃない同人誌的な物語なので、本作も『君の名は。』に引き続き、見ていて入り込めない作品になってしまいました。
特に前半の部分は眠気を押さえるのに大変なでした。
評価は70点。でも雨が晴れて一気に太陽の光が差し込むシーン、東京の夜空に花火が打ちあがるシーンは鳥肌が立ちましたよ。
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- 2019/07/25(木) 20:11:21|
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